何も自慢できるモノのない私ですが、今日は唯一の自慢を披露させてください。
ネコちゃん? そんなもの自慢をはるかに超えたモノ、皆さまのお家でもそうでしょ?
私の唯一の自慢、それは10㎝足らずの1枚のメモ紙です。
私、何故か中学へ入ったあたり、ミュージカル「ヘアー」を観てから、どうしようもなくニューヨーク(マンハッタン)にとりつかれてしまいました。
「ヘアー」は当時ベトナム戦争の泥沼にはまっていたアメリカで製作された、元々はブロードウェイミュージカルですが、「新しい世界を求める若い人々」の群像劇です。衣装のことばかりおもしろおかしく話題にされましたが、それはそれは新鮮な皮膚感覚でした。
しかし、当時は英語勉強と言っても、学校英語以外は日本短波放送がやっていた「百万人の英語」くらい、これを毎日かじりつくように聞く程度。
その後も日本の慣例に流され、受験英語一色、しかしニューヨークへのあこがれはどうしても捨てきれず。大学5年生で(一応医学部なもので。落第ではございませんよ)休学を申し出ました。
その当時の教授、友人…の反応は否定・反対派99%。でもそんなことはどうでもよく、後押ししてくれる稀有な教授に励まされて、私は最安値の飛行機に飛び乗りました。
あこがれのニューヨーク生活、現実はあこがれ以上、あこがれの100倍だった。
しかし、楽しいワクワクする日々でしたが、あっという間に時は経ち、大学に戻るときが近づきました。
案の定、帰国前には落ち込み、しかし、一旦帰国しないことには前に進めない……
帰国の2~3日前、銀行手続き(当時ウォールストリートの支店に行っていた)のあと、コーヒースタンド(まだカフェとは言ってなかった)で「もう帰らないとなあ…」と暗い気持ちでため息ばかり・・・・。
そこに1枚のメモ紙が。そこには、
“Don’t look so sad! S M I L E! “の文字と、手書きのスマイルイラストが。
カッチリしたスーツの男性(ウォールストリートだから銀行マンあたり?)がスマイルと共に立ち去って行きました。もちろん通りすがりそれ以外の何もありません。
「そんなさえない顔してないで、笑えよ!」
この一枚で
「やっぱりニューヨークに来てよかった、こんな瞬間に出逢うこの町に。」と思いました。
約40年後の今もデスクにそのメモ紙はあり、おりおり励ましてくれる私唯一の自慢です。