「カンペキ」って何語でしょう?
流行語はいつの時代もどんどん新しく更新され、私は今の10代の方々のお話になる略語とかは一切わかりません。
でも、たまに中高校生の方も「カンペキー」とおっしゃったりされますね。
この「完璧=かんぺき」は古代中国の故事から来た言葉です。かんぺきの「ぺき」が壁(かべ)ではなく璧、文字の下の部分が「土」ではなく「玉」になっています。
これは……
今から2200年あまり前、まだ秦の始皇帝が中国を統一する前、秦、趙、斉、楚……いくつもの国が覇権を争っていた「戦国時代」のお話がその起源です。
当時、趙の国に「和氏の璧(かしのへき)」と呼ばれるそれはそれは美しい宝石がありました。当時の宝石はおそらく翡翠(ひすい)、とても美しく淡い緑色、これが中心でした。
秦の王はどうしてもそれを我が物にしたいと考え、趙に「もし和氏の璧をくれたら、自分の領土にある15の城を代わりに渡そう」とも持ちかけます(もちろんワナです)。
趙からは藺相如(りんしょうじょ)と言う頭の良い男が「和氏の璧」と共に
秦に出向き、いろいろ機転を利かせてワナにはかかることなく、その宝石を一つとしてキズをつけないまま、趙に持って帰りました。
この話から「完璧」とは「大切なモノをもとのまま、少しも壊すことなく持ち主に返すこと」。そして時は流れ、現代日本ではとても良い結果になったとき、その成果、物体等…「パーフェクト」を表すとき、お小さいお子さまでも
「カンペキー」とおっしゃいますね。この言葉は2200年あまりの歴史がある言葉なわけです。
ちなみに、人がとても怒ったとき、その表情を「怒髪天を衝く(どはつ、てんをつく)」、略して「怒髪天」とか言いますが、それも起源は同じ話、秦王に15の城を渡す気がないと知った時の藺相如が怒ったときの様子が、髪の毛が逆立って、天を衝くようだったことから来ています。
このあたりのお話はマンガ「キングダム」にも出てきているかもしれませんね?キングダムはたいへんな人気ですが、フィクション(創作)部分があります。もろもろの物語のおおもとである、司馬遷の書いた「史記」を読むと、比較的あくまでも比較的(何故なら、今だに中国では次々と新たに遺跡が発見され、歴史が塗りかえられていますから)史実に近い話を読むことができます。
そこにはまだまだ、私たち日本人がごく普通に使っている言葉が出てきて、とても面白く、また人間のロマンを感じます。またいずれご紹介したいと思います。